”まちつくり”の公平感とグローバリズム






 
  【5】都市再生における新社会秩序の方向

我々を取り巻く国際的秩序の現状を観察しつつ、市場経済のグローバリズムに見るように我が国における在来の森林的思考が、徐々に砂漠的思考へ移行している様相を私たちは観察しているように思います。

しかし本当に砂漠的思考やバードビューに日本人が移行しているかというと必ずしも本質的に変化したとは思えない幾つかの部分が感じられます。市場経済主義が現状にとって唯一の適正な経済的手法であって我が国経済の立ち直りも凡てそこにかかっていると、本当に思っているのでしょうか。

それは兎も角も、米ソの両極性の崩壊から国際社会に見失われた秩序や公平感のあり方が、いま厳しい対立の中で模索されていることは事実です。そして地球市民として有限を感じている人類社会では、遠い先の話しであっても緩やかな地域コミュニティの連合が望ましく、そのような地球社会に適合する社会的秩序の形成が重要になってくると思っても不思議ではありません。

連邦制、国家、地域、まちつくりにおける階層間の秩序や公平感の連鎖も円滑に展開するように世界の時空間秩序として形成され、多様な角度からの調整が可能であるように社会的習慣として構成されるよう推進されることになるように思われます。
ここでは、物理的に考えられ検討に値するだろうシナリオの列記だけにとどめ、更なる調査や解析に多くを期待したいと思います。

@欲望による対立心を容認して競争へ転換するシナリオ  (競争秩序、直接的、戦争容認、他律的、フロンティアの存在)

A貪欲による対立心を滅却して無我の心により解決するシナリオ  (仏教的 四諦秩序、困難性の拡大 弱者容認 自律的)

B中庸の方位模索→競争+滅却の両解を認容するシナリオ  (尊厳に関わる弱者対策の拡大、代替補償の拡大)

C多極対流圏の形成と補完措置からの段階的秩序の形成へ向かうシナリオ  (集権的な意志決定によりシステム施行後、分権化の段階的推進へ)

D有限感に基づく地域コミュニティの内/外価値観の一致へ進むシナリオ  (有限の中の合意には社会的正義と公平感が不可欠)

Eコミュニティ思想→尊厳秩序の向上とその競争秩序の維持シナリオ  (コミュニティ波動、認識間通訳、団結の成果、自己組織化の中の秩序形成)

秩序なき時代を再評価し、都市再生に向かう秩序のあり方を模索するにあたっては、先述したように現在まで使用されてきた時空間秩序が構築された古い時代に心と意識によって回帰し、その時代における地域の人類意識が要求した与件の示す概念的視点を対象として現状を評価し直す必要があります。

この回帰するための調査や解析には様々な工夫が必要でしょうが、我々生きとし生けるものにとって実に肝要なものであることは間違いありません。
私たち一人の市民として、「まちつくり」に携わるものの一人として、生活する困難さから発生したような思考態度が、人間の本質的な進化行程のあらすじを実質的に定めているということ自体が大変きびしくも重要なことに思えるのです。

まちつくりが我々の人生に与える影響力をもっと深刻に捉えるべきでないか、そこにある社会的公平感が子供たちの人格形成にどの様な影響を与えるのか、もっともっと私たちは学びつつ現実的な対処を心掛けなければならないと思います。


   <目次>

はじめに.

【1】歴史的にみる社会的正義と秩序の形成

【2】有限の地球、意識段階そして国際社会とコミュニティのもつ課題

【3】社会的な再生秩序のための道筋

【4】砂漠と森林の思考世界―まちつくりの思考態度

【5】都市再生における新社会秩序の方向

 
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