「まちは元気を取り戻せるか」





 
  3.まちつくり三法の制定

多くの都市で中心市街地の空洞化が深刻な社会問題となっている状況を解決するために「大規模小売店舗立地法(大店立地法)」「改正都市計画法」「中心市街地活性化法」の3法が制定されました。

まず「大店立地法」は、それまで大型店の出店規制と中小小売業の事業活動の機会確保等を目的とした「大規模小売店舗法(大店法)」を廃止して2000年6月施行されました。従来の「大店法」は大型店の出店に際して、「開店日」「売場面積」「閉店時刻」「休業日」に対する経済的な規制でした。これに対して「大店立地法」では、「交通渋滞」「駐車・駐輪」「交通安全」「騒音・排気ガス」「廃棄物」と環境に関する規制となりました。

「大店立地法」の施行から1年間の新設届出件数は249件、1年前の届出件数は765件、約7割減となりました。これは旧「大店法」時代の駆け込みの反動、不況の影響等から大幅な減と思われますが、中心市街地の出店にとって極めて不利な条件であることも原因の一つと考えられます。とくに「交通渋滞」「駐車・駐輪」「交通安全」については、周辺道路問題や市街地での駐車場設置費用など郊外地に比べるとかなりのコスト高となります。届出に対する自治体の意見をみても「駐車場の出入り」に関する問題が大半を占めました。これは「交通渋滞」「交通安全」「騒音・排気ガス」の規制によるもので中心市街地にとっては対応を苦慮する課題と言えるでしょう。

次に「改正都市計画法」(98年11月施行)について要点をまとめますと、旧「都市計画法」では第一種低層住居専用地域、商業地域など12の用途地域の規制、更にこの用途地域に「上塗り」する特別用途地区(商業専用地区、文教地区など11地区)があります。「改正都市計画法」では、この特別用途地区について都市計画法で規制するのではなく地方行政(市町村)が独自に定めた都市計画を都道府県知事の承認により指定することが出来るよう改正しました。これにより商業地域等において「中小小売店舗地区」と定めますと大型店の出店はできなくなります。また「特別住居地区」を指定すると、住民にとって利便性と同時に良好な住環境の確保が出来ます。この改正は地方に主体性を持った「まちつくり」の実現を目的としたものですが、問題は小都市や町村における都市計画の策定です。

策定にあたっては人口が1万人以上などの条件と地元及び国の承認等で制定までに5〜6年はかかるなど小都市や町村における都市計画の策定は容易なことではありません。
「中心市街地活性化法」(98年7月施行)は多くの都市の中心市街地が衰退している状態を活性化するため商店街の総合的な支援策を制度化したものです。これまでの商店街支援策はアーケードやカラー歩道などハード先行の直接的な策でしたが、「中心市街地活性化法」の支援策は、次の3点がポイントとなります。

@中心市街地の商業地全体を一つのショッピング・モールとして総合的な基本計画により推進される事業への支援。
A市町村の基本計画に従がって、事業を推進し中心市街地の運営・管理(タウンマネージメント)を行う「まちつくり機関(TMO)」への支援。
B道路、駐車場の整備や区画整理事業など、商業活性化に資する事業への支援。

事業の進め方として、まず基本計画に従って統一的なコンセプトを策定して地元主導による再開発等により核テナントの誘致や商店の配置、更に区画の整備を行います。また空き店舗を活用して望ましいテナント・ミックスの実現を図ります。つまり中心市街地の商店街を対象とした再開発と区画整理による「まちつくり」です。具体的な推進の中心的な役割は「TMO」で、実務につては「タウン・マネジャー」が行います。
2000年7月5日現在で基本計画提出市町村は429(438地区)、認定156地区、認定地区の「TMO」の母体内訳は、商工会及び商工会議所113、特定会社等が43となっています。認定地区のまちつくりの事例をみると、空き店舗を利用した「ミニチャレンジショップ」や「リサイクルショップ」など、また、かって栄えた仲見世通りの復活催事など、現状は、個々の店、個々の地区の活性化への段階で総合的な「まちつくり」事業としての活性化にはまだまだ課題が山積しているようです。

「中心市街地活性化法」に基づいて中心市街地の商店街を対象とする(限られた地区)再開発と区画整理の推進であっても権利調整や資金計画等々多岐に亘るノウ・ハウと実績・経験等が必要とされます。更に完成したショッピング・モールを運営・管理するマネージメント能力など「TMO」に対する多くの課題が予想されます。また、現在政府が特殊法人等改革推進本部で進める特殊法人等の見直しで流通・サービス業に関係のある中小企業総合事業団及び地域振興整備公団が廃止を含め事業の見直しの対象となっています。
これは、今後の「TMO」への支援(融資や出資等)に大きな影響を与えることが必至と思われます。

これまで「まちの再生」についてその経緯や現況について述べてきましたが、バブル経済崩壊後の後遺症による影響は予想以上に深刻な社会問題となっており決め手となる対策もないままの状況が続いているようです。

「まちの再生=まちつくり」は公共性の極めて高い事業です。
そこで「まちの再生=まちつくり」について公共事業の立場から検証すると同時にこれからどのように推進するべきか探って行くこととします。



   <目次>

1.小泉内閣の誕生

2.まちの再生はできるのか

3.まちつくり三法の制定

4.まちつくりと公共事業

5.まちつくりとNPO


 
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