適者生存 あなた自身のまちつくり!

「公と私」の世界 おおやけの新しい役割




 
  5.まちつくりにおける市民の自覚と役割

地方分権にすすむ時代になって、都市構造や、立地基盤構築の方針はもちろん、都市における市民の居住環境や持つべき市民権の再定義に関する意志決定は、本来市民のものであり、民主的手続によって定められるべきものであることは論を待ちません。

しかし、国内世論にも国際世論にも「公共」というものに関する納得できる一般解が構成されていないという側面もあります。そのため現在は我が国らしい公私の秩序が生まれてはいませんが、分権がすすむなかで、全国各地で少しずつ望ましい萌芽と見られる動き(たとえば北海道ニセコ町まちつくり条例など)が見られ始めています。

この事例にも見られるように、ここでは公私の役割が明記されて公私に関する主要な課題が方向つけられるたいへん立派な業績であるように思います。ここで重要なことは市民のまちつくりに関する認識水準が正規分布していることで、豊富な認識が分散し維持されることが大切なように思いますし、何らかの事由によって偏極しないような運営が重要になります。その成果は市民の自覚や基礎素養の拡大に尽きることになります。

自らの生活環境つくりでもあるまちつくり事業は、この事例に見られるような目標とするコミュニティの定義が大切ですが、地方分権というものの大規模自治体ではこの概念が大きすぎてやや概念的にならざるをえない点にあります。そこでコミュニティの定義もやや曖昧なものになります。自治権をもつコミュニティは自治体と呼ばれますが、これは地域コミュニティであり、多くのヒエラルキーによる各種のコミュニティの集大成であることも事実です。この各種のコミュニティの集大成のあり方や、数多い地域コミュニティが地域コミュニティの集団となる目標や手法として、「緩やかな連合となるべき意志決定過程」のように新しい政治形態として検討される必要があるように思います。ここでは理念的な課題と実用的な課題が整理され、この意志決定過程を支援するようにしなければなりません。

ニセコ町のまちつくり条例案では、コミュニティを定義して「わたしたち町民にとって、コミュニティとは町民一人ひとりが自ら豊かな暮らしをつくることを前提としたさまざまな生活形態を基礎に形成する多様なつながり、組織及び集団をいう」こととしています。そして町民の役割として「わたしたち町民は、まちづくりの重要な担い手となりうるコミュニティの役割を認識し、そのコミュニティを守り、育てるよう努める」ことを定め、自治体の役割として「町は、コミュニティの自主性及び自立性を尊重し、その非営利的かつ非宗教的な活動を必要に応じて支援することができる」こととしています。

ここにも言われているように、市民は地域コミュニティの重要性を認識し、コミュニティを守り育てるように努める義務があり、自治体はコミュニティの自主性を尊重するとともに支援する役割が定められています。言い換えれば市民は自らの居住環境であるまちつくりを自らの責務であると考え自治体からの提案だけでなく自主的な判断が可能なように努める責任を持っていることになります。

しかし現状で全国各地の実態は、遠く及んでいない状態が観察されます。私たちはこのことに厳しく思いをいたし、各方面の対応に心して臨んでいく必要があると思います。

   <目次>

1.適者生存のまちつくり

2.地方分権にすすむ時代のまちつくり

3.現代における公共性

4.公共性の特徴的特性とその行為

5.まちつくりにおける市民の自覚と役割

 
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