3.全国的な内的沸き立ちを導く集中政策のあり方

(1)日本らしいグロ−バリズムの展開

先進国の中の多くの国が信じているように見えるいわゆるグローバリズムは、新しい世紀における世界の経済産業政策として本当に真正であっただろうか。南と北にある諸国に住む人々の間には、経済格差から見て多くの意見の相違があるのは当然のことである。グローバリズムが自由と平等な競争を標榜しながら、経済的なスタートラインに共に立っているという公正な自由競争でもなく、強弱の経済的立場によって極端な不公平を持つ可能性があるからである。
また市場原理という名で語られる価値観、それは制御する方法も意志も育っていないままに無制限に解放されてしまった欲望を素因とする価値観に、凡てをゆだねてしまうことの問題点に異を唱えるのも、有限を知る国民にとっては当然のことであろう。世界があらゆる側面で有限を示す中で、日本の歴史的な有限に対する知恵が示されなければならない。それは太陽系惑星群の環境の有限さへの配慮であり、人間の基本的人権に対する配慮であり、弱者への優しさであり、分かち合いであり、民主のための思いやり共和であると思われる。

経済社会も社会生活の中にも、今は自制力のない自己主張ばかりが横行するように見えているが、その様な風土の中にも、表面化しきっていない正義感が見え隠れするのが観察されている。今は何が起きても不思議ではないと言う不透明な時代だが、社会に正義があって、誰もが感じるこれが正義だというもとで決定されるグローバリズム社会こそ我々の望む地球社会の規範である様に思われる。


(2)中心市街地における宅地共有化政策

全国各地で中心市街地の激しい疲弊が進む中で、早くもその原因となったはずの大型店に、その存在を揺るがすような内生的な課題が見え隠れしている。自由と平等を標榜する市場原理の中で利益を追求する多様な働きは、市民の生活環境を目まぐるしく変貌させ、残るものは右往左往して騒ぎまくった「たたかい」の後のような廃墟である。

様々な社会基盤を整備するために様々な投資を繰り返し、街路網の整備に夢を託した市民は、市民の共有財産でもある中心市街地が、新設された道路による反作用によってこのように疲弊したまちになることを許せるのだろうか。市場原理というものに自治体にとって大切なこれほどの課題をまるで委ねてしまっても良いものだろうか。

既に選択され、動き始めている制度は暫くはこの航路を歩んでゆくだろう。日本国民は必要であると理解すれば、例えそれなりの自己犠牲があったとしても、立ち上がることが出来る国民であると思われる。市民は自らの環境と資産価値を維持するため、時機に応じて必要な戦略的対策が打てるように、合意に時間を掛けすぎないように、市民生活の共有資産でもあるべき中心市街地を、市民全体の共有資産となすべき措置に、犠牲を払ってでも臨む必要があると決断すべき時機に来たように思われる。抜本的かつ大胆でありながら、充分な補償のもとにこのことを容易にする政策があってこそまちの活性化は有効に働く。



(3)都心産業にすすむ知的環境政策

我が国産業は、かつて世界の工場群をもって任じ今も尚、精密な製品の中核部分の生産能力では世界に類を見ない特性を持っている。日進月歩する東南アジアに追いすがられている、そして新しい世紀を迎えた我が国産業は、精緻な技術部分と、有限を利した思考構造体として整理された思考体系に特徴を持つ都心産業に重心を移さなければならない。
「新しい知識の獲得手段こそ新産業の目的である」というピーター・ドラッガー氏の提言の存在は、まさに新しい知識を獲得するための認識間通訳の交流が都心産業を形成することとなり、頻繁な都心交流機能によって存在感を高める求心性が与えられるのである。

このような前衛的な都心空間は、知的活動に疲れた市民に憩いを与えるための静と動の知的空間を構築するために、幾つかの超高層コアによって形成され、全共有による中心市街地の地価形成並びに特定容積率の指定によって、知的産業に働く若年労働層に対して思索環境が整備された都心住宅を低価額で供給することを可能にするのである。

これらの具体的な複数以上の心理的インパクト政策が及ぼす影響こそ、全国的で建設的なカタストロフ現象を引き起こす大きな可能性を持っている。沈滞しきった我が国民の志気を引き起こし、此ならやれそうだという新鮮な目標のもとに団結できるとき、始めて彼らの感性を沸き立たせ立ち上がろうとする気力を引き出す政策となることを重視しなければならない。


(4)まちつくりによる内需拡大の効果
では、これらの政策が実施された結果、まちつくりによる初期段階だけの内需拡大の効果を試算してみると、 (詳しくは別紙1参照)
 東京23区に対し、まちつくり事業を実施した場合
      経済波及効果 約32兆円  2.3兆円/年(対GDP 0.5%)
 三大首都圏に対し、まちつくり事業を実施した場合
      経済波及効果 約85兆円  6.1兆円/年(対GDP 1.2%)
となり、初期段階での効果だけでも他の産業との経済波及効果(別紙2参照)に比較しても、日本経済に与える経済的な影響力の大きさは引けをとらないものとなっている。

また、この段階を経て新しい前衛的な都市空間の創設には更に大規模な事業が展開されることとなり、今後低迷する日本経済を救う唯一の効果的な手段であることがわかる。

世界の多くの国から求められている我が国の内需拡大による世界経済への貢献は、先述するように、依って立つ基盤の変更を伴う革新的変革であるだけに、担うべき市民のこころこそ凡てのものであるが、その成果が日本社会に及ぼす影響は、経済的側面から見るだけでも莫大なものとなることは容易に想像がつく。

今回の提言は、この実現にあたって最も大切なことは、まず市民の良識を信じることであり、信じれば必ず報いられる同胞であることを、まず信じて立ち上がることである。






目次

はじめに

1.新世紀における都市の貢献

2.都市再生を妨げる主な課題


3.全国的な内的沸き立ちを導く集中政策のあり方






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