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| 2.都市再生を妨げる主な課題 20世紀における科学技術の革新的な展開は、都市の特徴的な特性を喪失したばかりではなく、災害に対する脆弱性や職住の分離など多くの負の遺産を累積しつつある。 また科学技術は大幅な人間能力の改善をなしつつもあるが、その内生的な欠点には殆ど目を向けてこなかったのも事実である。いまや地球のもつ有限の課題もその殆どが物的なものではなく、内的な葛藤を主因として存在するものと理解される時代である。 (1)都市再生は、心の問題への対処である! 世界における有限感のもつ課題と全く同じように都市再生に関わる殆どの問題点も、市民の心の内層に関わる問題が唯一最大の課題である。そして識者も行政も政治も、もう少し市民を信頼すべきである。色々のことがある世相であっても、一方では充分に信頼に足る市民であることを知ろうとしていない。そしてこの段階における我が国の都市再生策が、いわば強力な法制度を要求するだけでなく、いわゆる文芸復興、大航海時代、あるいは宗教改革などを含むあのルネサンスが経験したような包括的、かつ政治的な総体でなければならない所に最大の課題がある。 様々な現象や課題の解決のために、新しい法制度の創設や改正の方向が示されつつはあるものの、まちつくりの基幹となっている区画整理事業や再開発事業の制度疲労は目を覆うばかりであり、政府の対応に信頼を置けない市民は疼くような心にしっかりと応えてくれる本物の出現を待っている。 まちつくり最大の課題は市民の心を揺り動かすようなビビットな目標像を見失った「市民の心の内」がその底辺にあることに注目しなければならない。 (2)地方分権による市民権の具体化 まちつくりが地方分権の進展行程に委ねられ、自治体の市民権が示す内容と市民の義務の具体化が、まちつくりの中で討議されるための標準モデルが必要な局面になっている。これは特異な国民性を有する我が国が、グローバリゼーションへの適切な修正融合を果たすべき大切な道筋の一つでもある。ここで問われるべき新しい都市社会における「おおやけ」の父性こそ「まちつくり憲章」を定める重要な市民の視点でなければならないし、見失われた社会正義と秩序に向ける重要かつ新しい局面でもある。 長く右肩あがりの経済に慣れた市民に地方分権という政策が本来意味し有効ならしめるための具体的手法を市民自身が教養として持って貰うために行われるコミュニティ・カレッジなど市民講座などへの助成は、この意味において今後の重要な措置である。 (3)まちつくり事業のリスク管理と企業社会の認知度 まちつくり事業が集団事業である限り、集団的合意に関わるリスクは常につきまとっている。そして事業への参加意欲を喪失させ、産業の主流をなす企業群のまちつくり事業への認知度や内需としての期待度は低いままである。しかし後述のようにまちつくり事業が伸展したときの内需の拡大は類を見ない規模をもっており、併出する効果を評価すれば決して揺るがすことの出来ない重要な政策課題である。 現状のまちつくり事業をリスクという視点から観察し直せば、最も多く使用されている、常に協議しながら展開する第一種事業に比して、ある買収条件下で協議を進める第2種事業の方がリスク管理に関する調整が容易であるという見方が生まれてくるだろうし、地域や経過によっては将来像に戸惑う市民の選択にも好影響を及ぼす機会の提供になる筈である。しかしながら一方では、まちつくりに関わるリスクを巡る参加企業間のいわゆる産業秩序に関する研究事例、実務例や制度上の補完策等も、参加企業の意志決定のためにもキメの細かな対策として重要になってくるだろう。新しい制度にはこのようなバックアップ体制がとりやすい改革を含む必要があるだろう。 |
目次 はじめに 1.新世紀における都市の貢献 2.都市再生を妨げる主な課題 3.全国的な内的沸き立ちを導く集中政策のあり方 |
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